108   陸中一宮    岩手県
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駒形神社
祭神 天照大神  天常立尊  国狭槌尊 吾勝尊 置瀬尊  彦火尊
摂社 山神社   塩竈神社        
  東北地方は昔は陸奥の国と一括されていた。律令制度が定まるころにはまだ陸奥の国は蝦夷が住む国で、中央の権力が行き届いていなかった。なので一宮は塩竈神社ということになっていた。しかし明治になって陸前、陸中、陸奥という区分になり、それぞれに一宮がもうけられた。と言っても昔からの一宮とは異なるので、「新一宮」とされている。
 旧陸奥の国の一宮は陸前の塩竈神社(もとは陸奥の一宮だった)だけで、陸中の駒形神社、新しい陸奥の岩木山神社は新一宮ということになっている。 

 駒形神社は、出羽の国の大物忌神社と同じく、の駒ヶ岳山頂にあった。長い間山頂にお参りに行っており、20年ごとの遷宮も行われていた。しかし明治になると、不便な山頂ではなく里に降りていただくことになった。現在の場所には塩竈神社があって、駒形神社の遙拝所があった。そこが新しく駒形神社になり、塩竈神社は境内社になった。

 もともとは自然崇拝の社だったが、神仏習合のころから神さま仏さまの名前が付けられた。明治になって里に下りてきてから上記のような祭神になった。天常立尊、国狭立尊(くにのさたちのみこと)は神代七代の神さま。あとは天照大神の長男吾勝尊、孫の置瀬尊(ニニギ尊)、さらにひ孫の彦火尊(山幸彦)となっている。しかしこれは明治になってからの祭神なので、古来の神さまではない。
駒形神社拝殿 摂社:山神社
立派な桜、咲いたらみごとだろう  絵馬もあるがこちらの方も人気
● 山神社の祭神
    木花開耶姫神(このはなさくやひめのかみ)
    大山祇神(おおやまずみのかみ)
    ※ 駒形神社のもともとの神様ではないか?


●塩竈神社の祭神
    塩土老翁神(しおづちのおじのかみ)
    武甕槌神(たけみかづちのかみ):鹿島神宮
    経津主神(ふつぬしかみ):香取神宮
   


蝦夷の大将は阿弖流為(アテルイ)と呼ばれた。中央から侵略してきた勢力に対して
何回も撃退したが、最後に坂上田村麻呂にとらえられて、京に連れてこられた。
田村麻呂は、教養高いアテルイを都の人に逢わせれば、おどろいて丁重に扱うだろうと
考えていた。しかし田村麻呂が亡くなり、アテルイは都の公家によって処刑されてしまった。
蝦夷の人たちの恨みは深かったが、頼りにした大将がいなくなっては、中央の勢力に
勝てるはずはなく、徐々に同化政策によって、蝦夷の血は薄くなっていった。

水沢はアテルイの活動の地、さらに中央政府の砦であった「胆沢城」があった。
時間があったので暑い中、ママチャリをこいで埋蔵物文化センターにもよった。
胆沢城付近は、東北の歴史になかでも特筆されるような場所であったことを理解した。
アテルイの像:ママチャリの私  アテルイの砦 
蝦夷に対する最前線の城  アテルイの砦の上からの田んぼアート 
胆沢(いさわ)城  鎮守八幡宮:胆沢城の鬼門に置かれた! 

  蝦夷の土地は昔は「日高見」と呼ばれた。そういえば昔、十和田から野辺地に向かって走った時に「日本中央の碑」というのがあったことを思い出した。
  いくらなんでも青森県に「日の本中央」があるなんてと思ったが今考えると、蝦夷の地は「日高見」で、「日の本」とも呼ばれた。蝦夷地の中央が青森にあったと考えれば合点がいく。
 水沢には「日高神社」という立派な神社があった。駒形神社は明治になってからの一宮神社だが、こちらは蝦夷のころからあった神社(?)だった。古い地元民から見たら、こちらを一宮にした方がよかったのかもしれない。もちろんたわごとではあるが。・・・
水沢:日高神社(日高見国の神社)  日高見は蝦夷の国の総称! 
日高見のリーダー:アテルイ   日高神社の姥杉巨木2本ある

■ 水沢緯度観測所(国立天文台水沢) ()
  歴史の中でも重要な場所と言ったが、科学史上でも大変な意義のある場所だ。下の写真の39°8′というのは世界に数か所ある緯度観測所の緯度である。地球は仮想の地軸の周りを正確に回っている。しかし大変微少だが少しずつ地軸は動いている。現在地軸の一方の先には北極星があるが地軸が動くとそのうちに北極星は別の星に移ってしまう。どのくらい動くか正確に測るために明治の時代に世界中で39°8分の場所に観測所を置いて観測を続けることになった。
 日本の観測精度は大変立派で、地軸の動きだけではなく地形地質の影響まで測ることができた。当時は天体観測に地形地質の影響があることなどわからなかったので、日本だけがおかしな観測値になったと言われたが、所長の木村栄(ひさし)は、Z項という概念を入れるて補正をすることを提唱した。これは大変な発見で、世界的にもZ項は注目されて、なんやらわからわからないがZ項ブームになった。水沢にはZホールやZなんとかという建物、Z団、Z会などがある。

 木村先生の所に出入りしていたのが、かの宮沢賢治で、「風の又三郎」の構想を得たそうだ。いまは宇宙遊学館で宇宙が学べるよ。さらに科学都市として近未来に国際リニアコリダー(ILC)が建設されることになっている。30qの直線の加速器が作られるが、それによって宇宙の始まりを再現できるかもしれないという壮大な構想だ。
3m,6m,10mの電波望遠鏡  線の先に旧観測小屋がある 
スーパーコンピュータの建物!   ILCの説明:駅にもあった!
 「全国一宮めぐり」の旅で、陸中一宮:駒形神社にやってきたが、周りにはもっと興味深いものがあって駒形神社の参拝がちょっとかすんでしまった。しかし私の一宮めぐりは、一宮を支えてきた場所がどんな所かを探るブラタモリ的興味なので、収穫は大変大きな旅になった。ここはこれからどう変化していくのかを見る楽しみがある場所だ。
 忘れていたが、水沢には「競馬場」という興味深い場所がある。奥州は昔から軍馬の産地。それが競馬に発展したというのも興味深い。
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