JR東海道線に尾張一宮という駅がある。当然尾張国の一宮があるが、なんという名前か私は知らなかった。駅員さんに聞いてみて初めて「ますみだ」と読むことを知った。大昔はこの辺りを清らかな川が流れていた。今の流路から考えると木曽川が近くに流れていたようだ。今でも清い水が湧き出る井戸がある。
この神社ができたころはきっと自然神(たぶん清らかな水)を祀っていたが、その後尾張氏の祖先と言われる「天の火明命」を祭神にしたのだろう。さらにこの地は織物産業で有名なところだったので、服織神社が境内にある。この神社の祭神は天火明命の母神である「萬幡豊秋津師比賣命(よろずはたとよあきつりひめのみこと)」で、機織の神様とされている。
尾張地方は、昔から稲作(尾張米)と繊維業が盛んだった。天の火明命との母子神は地域の人々から篤い信仰を集めた。萬幡豊秋津師比賣命は別名を「棚機姫神(たなばたひめのかみ)」と呼ばれ、七夕伝説の「織姫」と同一と考えられている。そのためこの地域の七夕祭りは大変な賑わいを見せる。
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