■高尾山は東京近郊にあるなじみの深い山だ。山頂近くには飯綱権現と真言宗薬王院という神仏混淆のお山があって、大勢の参拝客で賑わう。桜や紅葉のシーズンになると参拝客以上のお花見客がやってきて、山頂は座る場所もないほどの混雑になる。
そんな場所には行きたくないと言われるかもしれないが、ちょっと裏に入れば、人跡はまれになり、すばらしい自然と、古い歴史を味わうことができる。手軽に行くことができるので、私はしばしば訪れている。もっとも72満行(3×7回が1満行)のMIYA寺さんに及ぶべくもないが。 |
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◆秋の紅葉シーズン。高尾山口の駅前はラッシュ時の新宿駅並の混雑だった。こんな時には国道20号線をJR高尾駅に向かって5分ほど戻り、ろくさん亭の前から通じている裏道、旧の甲州街道を通れば、ほとんど人はいない。どうしてみんな人の多いところへ行きたがるのだろう。ちょっと地図を調べればすぐ分かるのに。でも私はケチな人間だから、あまりノウハウは教えたくない。
今日は奥さんと一緒だが、脚力が違うので、別コースをとることにした。彼女はろくざん亭コース(この山道もほとんど人はいない。)を経由して薬王院のお札授受所で落ち合うことにした。 |
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◆旧甲州街道、八王子宿の次は駒木野宿、そこには小仏関があった。街道は峠を越えて相模湖に降りていく。江戸末期、近藤勇は土方歳三らとこの峠を越えて、勝沼に進軍した。しかし敗北しこんどは板垣退助の官軍がこの峠を越えて八王子に攻め入ってきた。この峠は時代時代の変わり目を見てきた重要な峠だった。■小仏の関所跡は舗装道路に面しているので、私はいつも川沿いの快適な山道を走る。上の2枚の写真はその道である。20分ほどで舗装路に出るが、行き止まりの道なので車はほとんどこない。おいしいわき水を飲んだり、摺指(するさしと読む)の峰尾豆腐店で、おからドーナツを食べたり寄り道をするので、案外時間はかかる。 |
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■小仏川に沿った道は夏は暑いが、紅葉季節は快適だ。しかし頭上に圏央道と中央高速のジャンクションの工事が進んでいる。この下にすんでいる人たちはいつ車が降ってくるか心配だ。高尾山の下を通る道路は反対運動が強くて、まだ取りかかっていない。私も車には乗るし、中央高速も利用するが、こんな工事はもうヤメタ方がいい。高尾山をこれ以上痛めつけてはいけない。
■中央高速の小仏トンネルの入り口の近くで、旧甲州街道の舗装路は終点になり、ここら先は山道になる。高尾山口からほぼ1時間かかった。この水場では車でやってきてタンクに汲んでいる人が何人もいる。うまい水だ。 |
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■水場から小仏峠までは30分あれば十分だ。ジグザグの道は走るのはつらい、私はいつも歩きだ。うっそうとしたスギの森を抜ければ、峠の茶屋。ちょっと前までは2軒の茶屋があったのだが、今は廃屋になっている。夕暮れ時に通ったときには、ちょっと不気味だった。
■峠からは相模湖に下りる街道があるのだが、今日は奥さんが待つ高尾山に向かう。調子がいいと峠から高尾山口までは1時間で行くのだが、今日は待ち合わせ時間があるので、写真をとりながらゆっくり、のんびりいく。 |
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■こんな道を見るとだれもが走りたくなる。前の二人ずれもついつい走り出した。足下はふかふか。こんな道ならいくらでも走れそうな感じがする。峠の上の茶屋は休日にはやっている。ここから富士山、相模湖、高速道路の眺めがすばらしい。
■私もつられて走り出したが、次々に陣馬山から走ってきたグループに追い抜かされる。ここは山岳ランニングのメッカなのだ。 |
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■峠からは「関東ふれあいの道」の一部になっている。峠から城山に登るのが正規の道なのだが、ランナー達は山頂には行かずにまき道を通っている。こちらは上り下りがないので、快適に走ることができるからだ。ここらは登山をする人と、山道ランニングをする人の感性の違いがある。登山者なら、頂上直下まで来ているのに何で最高点まで行かないの?と思うだろうが、ランナーはただの突起じゃないか、快適に走っているときには邪魔だな。そこに行く必要はあまり感じないのだろう。 |
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■スギ花粉が問題になるが、ここのスギはよく手入れがされている。ちゃんと枝打ちをしてあれば、スギだって気分が良くなり、むりやり大量の花粉を飛ばすことはない。手入れをしないと、スギだって、もう自分の寿命が短いと感じ、子孫を残さなきゃ、と遺伝子DNAをまき散らすのだ。 |
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■飯綱権現の鳥居。境内には大天狗、小天狗が両脇にいる。お寺の仁王門みたいなものだ。紅葉にはちょっと早い。
■健脚祈願、腰痛平癒の下駄があった。よくお参りしておこう。 |
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■ちょっと早い紅葉を眺めながら、小仏峠から一丁平まで30分。そこから高尾山山頂まで30分。合計1時間で到着。薬王院で奥さんに合流。仁王門の脇で、汗だくになった服を着替えて、本日のメイン精進料理の権現茶屋に向かう。 |
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■ここの有喜弁当は1000円。この値段で、湯葉づくし、くみあげ湯葉(山葵醤油)、山くらげときざみ湯葉の田舎煮、たぐり湯葉・紅葉麩、寄せ湯葉田楽・赤白味噌・麻の実・けしの実、柿ときのこの天麩羅、五穀飯・玄米・黒豆・大豆・小豆・白隠元、椀・きのこ汁、香の物。これはすごい。要予約。 |
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■紅葉時期にはお花は少ない。ツリフネソウが寂しく咲いているだけだった。
■お腹がくちくなって下ったところに滝がある。修行の人の声が聞こえた。寒いのだろ。気合いが入っていた。
■ユーモラスな石仏がが、今日も元気にお帰り、と言って笑ってくれた。 |
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