■2-2 伊邪那岐・伊邪那美神がすべてを産んだ!

伊邪那岐・伊邪那美のご夫婦神は高天原から「天の浮橋」に出てこられた。
橋の上から天と地と海とが判然としない混沌の下界に「天の沼矛」という棒を差し込んだ。お二人で沼矛を引き上げたところ“しずく”垂れて固まった。その場所がオノゴロ島で「天の御柱」ができた。

ご夫婦神は“天の御柱”の周りをまわって国を産むのである。まわり方やお互いの声のかけ方などいろいろ試行錯誤してやっと「大八洲」(おおやしま)が生まれるのである。神ではあるが意思をもって生んだのではなく、たまたま生まれたのである。これは日本神話の奥深い洞察力のたまものである。

その後伊邪那岐・伊邪那美の神さまは、多くの神さま、人間を産む。しかし火の神さまを生んだ時に伊邪那美は大やけどを負って死んでしまう。伊邪那美は死んで「黄泉(よみ)の国」に行くのである。
夫の伊邪那岐は
「まだ一緒にやることが残っているから戻っておいで!」
と黄泉の国に迎えに行く。
ところが妻の伊邪那美は
「黄泉の国の食べ物を食べてしまったからもう戻れない。私の姿を見ないで!」
と言う。
伊邪那岐はついのぞき見してしまう。そこにはウジ虫がたかった醜い姿の女神がいた。
「見たわね! もう生かしては置けない!」
怒り狂った伊邪那岐は夫の伊邪那岐を追いかけてくる。
伊邪那岐は黄泉津比良坂(よもつひらさか)を駆け上って黄泉の国の出口を大岩で塞いでしまう。

中では女神が怒って
「あなたの国の人々と1000人ずつ殺す!」
という。伊邪那岐は
「それなら私は1500人づつ生む!」
と答えて、夫婦別れをした。

黄泉津比良坂から逃げ帰った伊邪那岐は
「まあひどく穢れた所に行ってしまった。禊(みそぎ)をして体をきれいにしよう!」
と、筑紫の日向の橘の水門(みなと)の阿波岐原(あわぎはら)の海に浸かる。
「みそぎ」の結果、
◆左目を洗ったときに天照大神(あまてらすおおみかみ)、
◆右目を洗ったときに月読大神(つくよみのおおかみ)、
◆鼻を洗った時にスサノオ神大神(すさのおのおおかみ)
が生まれた。この三柱の神を「三貴子」と呼ぶ。
三貴子のなかで長姉の天照大神が日本では最も尊い神さまとされている。

高天原では伊邪那岐・伊邪那美の御代が終わって、天照大神が最高神となる。神の国だが、様々な事件が起こる。いったいどんな事件なのか探ってみよう。

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