博士の愛した数式

2006年01月28日

 東武練馬で「博士の愛した数式」をみた。前に見た「阿弥陀堂便り」の監督の作品だ。あの映画の風景もよかった。今回の風景もよかった。ポスターには、満開の桜の下を、80分しか記憶が持たない博士と美人の家政婦さんが散歩する風景が美しい。しかし映画を見たら、桜ではなく杏の花のようだ。撮影場所は桜の名所の上田なのに。ちょっとやられたという感じだった。

 220と284は友愛数というのだそうだ。それぞれの約数を足すと、相手の数になる。すなわち220の約数をすべて足すと284になり、284の約数を全部たすと220になるのだ。なるほど。

 博士は阪神の大ファンで、何でも知っている。といってもそれは30年前で停まっている。28は約数を全部足すと28になる。こんな数は完全数という。江夏の背番号は28、だから江夏は偉大なのだ。

 博士と家政婦と、浅丘ルリ子のおばあさんとの3人が織りなす物語だ。何の関連もない3つの基本定数、円周率π、虚数単位i、自然対数の底e、は eiπ+1=0 (iπ剰、字を小さくできないので)のように表すことができる。π、e、iを組み合わせ、最小の自然数である1 を加えると0になる。これはオイラーの等式で、「人類の至宝」と呼ばれているのだそうだ。

 本当はかなりの関係なのだが、記憶がない博士と浅丘ルリ子ばあさん、それに家政婦をグチャグチャとくるめて、ルートと呼ばれる家政婦の息子を加えると、すべてが0になるのだ。0は空っぽではない、博士は0があるというのだ。それで3人プラス1の関係は時間を超えて続いていくという、なかなか哲学的結末になっている。この映画監督はさすがだと感じた。

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