新幹線が脱線した映像が流れている。新幹線が脱線したのは2004年の中越地震のときが初めてで、衝撃だったことを覚えている。これまで地震で脱線したのは2004年の上越新幹線8両、2011年の東日本大震災で試運転中の東北新幹線1両。と今回の九州新幹線。脱線の要因は簡単ではないが、地震の揺れの単位ガルの大きさと関連している。今回の地震の最大揺れの大きさを1580ガルという発表があった。ガルという単位は聞きなれないが加速度を示す古い単位、ガリレオにちなんだ命名だ。地震や原発論議の時にはしばしばでてくる。
重力加速度は9.8 m/s2 だが、ガルで表すと980ガルになる。宇宙に行くときにG(ジー)がかかるとかいうが、同じものである。今回の地震の1580ガルというのは重力加速度よりもかなり大きい。単純に比較はできないが、地面が1580ガルの加速度で下に揺れたとすると、線路上にいた新幹線は980ガルで自由落下する。しかし地面(線路)から見れば1580-980=600ガルで浮きあたったことになる。すなわち脱線。
エレベーターに乗っているときにロープが切れても箱と人間は一緒に落ちるが、何かすごい力が働いて箱が重力加速度980ガルよりも大きく引き下げられたら、人間は突然浮かびあがり箱の天井に激突する。(高速エレベーターで飛び上がる実験などしないように!)地震で列車が脱線するのは980ガルを越えているときだ。ちなみにこれまでの地震の最大加速度を示しておきます。
1995年 | 阪神淡路大震災 | 900ガル | ガル |
2004年 | 中越地震 | 2000ガル | ガル |
2008年 | 岩手宮城内陸 | 4022ガル | ギネス記録 |
2011年 | 東日本大震災 | 2933ガル | |
2016年 | 熊本地震 | 1580ガル | |
1923年 | 関東大震災 | 300~400 |
ところで、原発。今回の地震断層の延長線上には四国の伊方原発と稼働中の川内原発がある。川内原発は安全基準が厳しくなり、620ガルの揺れに耐えることができる。ということで再稼働した。アレレ、もし今回の地震が波及したら大丈夫なの?? 620ガルというのは関東大震災の400ガルを参考にしたものである。さらに基準を厳しくしたというが、実は数値を直しただけだ。原発に関してはみな戦々恐々としている。ちゃんとした情報を出さなければ不安はまだまだ増す。伊方原発の再稼働方針も改めて見直して欲しい。裁判所はこの数値をどう見ているのだろう。さらに原発の燃料棒の移動先を早く決めなければいつまでも心配はつきない。早く何とかしてほしい。