目黒不動(瀧泉寺)
たくさんの狛犬を見たければ目黒不動に行くとよい。都内最古の狛犬からつい最近奉納された新しい狛犬を見ることができる。狛犬はたいていは神社にいるが目黒不動(天台宗瀧泉寺)のような寺にもいる。明治以前は神仏習合といって寺も神社も一緒だったのだ。 しかし明治政府は廃仏毀釈の政策をとって仏教的なものは廃棄した。五重塔や仏像など文化財は破壊された。一部は外国に売られたりした。ボストン博物館にある日本の文化財はこの時に二束三文で売り払われたものだ。明治政府の幼稚な政策で日本の多くの文化が失われた。もちろん今になって返せと言うわけにはいかない。上の写真を見てほしい。立派な石工が技術を駆使して彫り上げた狛犬である(1841年作成)。台座の彫刻もすばらしいのだが正面から見ると左半分がかけてている。さらにこれは向かって右側にある阿形の狛犬であるが吽形の狛犬の姿が見えない。はっきりした証拠はないが廃仏毀釈によって狛犬も叩き壊されたものだろう。ほかの寺社でもこんな例はいくつもある。3匹の子供を持つこの狛犬も石段の下に寄りかかるようにしているが反対側には相棒がいない。狛犬を単独で奉納することはほとんどないのでこの母親狛犬も夫狛犬を失ったのだろう。
この二つの狛犬はふつうにみる狛犬とはだいぶ違う。外国産の狛犬ではなく和犬型狛犬で1862年に奉納されている。たて髪豊かな狛犬とは違って何か愁いを持っているような感じだ。私は上のうつむき狛犬を反省型と呼んでいるが、ほかにあまり例はない。獅子狛犬と言われるがこの二つは獅子の要素はなくまさに犬だね。 石段の上には寺なのに山王鳥居がある。その両脇に東京で最も古い狛犬がいる。顔はちょっと怖いが背中の模様などはすばらしく、かわいい感じだ。1654年製というから江戸時代の初め。今から370年ほど前のものだがきれいの保存されている。すばらしい。まだまだ狛犬はいます。
上の二つは入口の仁王門前と仁王門内側にある。それぞれ1999年と1978年にここに置かれた新参狛犬である。門内にある獅子狛犬は丹波一宮籠(この)神社の石造狛犬をコピーしたものだろう。籠神社の狛犬は日本で最も古い(安土桃山時代)と言われている。(矢印のところを石見重太郎が切り落とした?)東京で一番古い狛犬、日本で一番古い狛犬のコピーまでいろいろたくさんあるのがここ目黒不動である。おまけに3つの狛犬写真をアップしておきます。
上は境内の八大童子まえの岡崎型狛犬、次は女坂途中のブロンズの狛犬である。もう一つは仁王門脇の門柱の上に置かれた石の象。これも狛象と言うのだろうか。同じようなものはしばしばお寺でみる。仏教の起源はインドにあることと関連するのだろう。
これだけ見ればおなか一杯ですが、さらに門前の「八ツ目やにしむら」のウナギを賞味あれ!