富岡 小浜海岸 ろうそく岩

160313candlerock がらくた整理を始めているが、その中でも一番大変なのがスライドの写真だ。四段のファイリングケース2本にぎっしりと入っている。一応整理をしてあると思っていたが、何かに使ったりしてかなり散逸している。大事そうなものだけ残し、全部捨ててしまおうと思っていた。

しかしこんな写真があった。こりゃとても捨てられない。どこの場所かと言えば、福島県の富岡の牛浜海岸だ。1980年代に常磐線富岡駅から小良浜(おらがはま)の港に向けて走った時に撮った写真だ。昨年常磐線の富岡駅の跡に行ったが、常磐線はまったく途切れたまま。それもそのはず、ここは福島第一原発と第二原発の間にある町で、とても帰還ができる場所ではない。

当時この岩は「ローソク岩」と呼ばれていたと思う。現在どうなっているか、福島在住の哲くんに聞いたが、「まだまだ行くことはできないのでどうなったかわからない」とのこと。風の噂では津波でローソク岩は崩壊したという。見てわかるとおりこの岩はかなり柔らかい砂岩、泥岩などが重なったもので、年々崩れてきていた。なくなるのは時間の問題だと思っていたが、大津波であっけなくなくなったようだ。

自然界にはカタストロフィ(不連続・大変化)ということが時々ある。大地震、大津波、大洪水、大噴火など。通常はちょろちょろ流れている川の水がとてもV字谷をつくるとは思えないが、長い歴史の中では大洪水がしばしばおこってとてつもなく大きい岩が谷底を削りながら流れてくる。V字谷はカタストロフィでできるもので、ふだんの連続的な浸食でできるわけではない。

ろうそく岩の対岸には遺跡がかなりあったが、半分ぐらいが削られていた。当時私は徐々に浸食が進んでいるのだと思っていたが、過去の大津波で一気に崩れ去ったのだといま思う。たぶん「ローソク岩」はなくなっているのだろうが、福島第一原発の放射能のために確かめることはできない。様々な意味で、この写真重要だ。写真を捨てる作業はしばらく中断しなけりゃ。

「雨だれ岩を穿つ」、小さな雨だれでも長年続けば岩に穴をあけることができるということわざかな。しかし岩に穴をあけるまでの間にカタストロフィーが起こることが今回わかった。コツコツ努力していても突然ひどいことが起こることはあるということ。「努力は実るとは限らない」という教訓もある。一生懸命コツコツ努力している人から見れば、なんと不謹慎と怒られそうだが、そんなことをローソク岩の写真から感じた。

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