狛犬行脚‐03 狛犬は高麗犬か?

高麗神社に狛犬がいるか?

 狛犬の「こま」は高麗に由来するとの説がある。さっそく高麗神社に行って確かめてみた。高麗神社の案内には高句麗からの渡来人千数百人が719年に埼玉県の飯能の近くに土地を得て住み着いたと記されている。ここに朝鮮半島独特の狛犬がいれば面白いのだが・・・

 ところが高麗神社にいたのは上のような狛犬だった。神社自体は古いが鳥居も狛犬も新しいものであり、高句麗風なところはない。鳥居前にいたのは最近作られた花崗岩製の岡崎型のごく普通の狛犬だった。ちょっと残念な気持ちのまま隣の高麗寺に寄ってきた。ふつう寺には狛犬はいないが、代わりにこんな狛ヒツジがいた。これは韓国ではよく見かける石像で、上野の国立博物館の入り口にもあった。しかしこれは狛犬のルーツではないだろうな。たった一つの経験からではあるが私は高麗から来たから高麗犬、それが変化して狛犬となったという説にはあまり説得力がないと判断した。本当は獅子狛犬が正しい 
それならこれはどうだろう。中国本土や台湾には次のような狛犬ならぬ獅子がいる。どこに行ってもいるので大変ポピュラーなものらしい。
日本でも中華料理屋にもいるが東大の資料館の入り口や寺社にもいる。 実は日本の狛犬はもともと「獅子狛犬」と一対にものとして呼ばれたそうだ。それは唐の時代に輸入された文化の一つで唐獅子、獅子舞などにその名前が残っている。「徒然草」では「獅子狛犬」と表記されているがいつまにか両方合わせて「狛犬」になったと。近年文化庁では文化財としての呼び名を「狛犬」から「獅子狛犬」と本来の呼び方に変えた。私たちはまだ「狛犬」のままで呼び続けるだろうが、公式には獅子狛犬というのが正しいようだ。

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