12月12日(金)
地平線会議の通信にミャンマー報告の短報を載せました。その再録です。
向後さんのマングローブ調査のお供でミャンマーに行ってきました。国連から世界最貧国にランクされ、総選挙の結果を無視し、アウンサンスーチーさんを監禁する軍事独裁国家なんぞに行ってなるかと思っていたのですが、現地をみて大きな驚きがありました。ヤンゴンのシュエダゴンパゴダは世界一の金のカタマリ。各地に金ピカパゴダがあります。この巨大な金塊を使えば経済なんかすぐに回復するはずです。しかしミャンマー人はお金が入ると金持ちも貧乏人もお寺に喜捨するので、そこで金塊に変わり、世間には回らないので経済活動は停滞するのです。
◆社会経済が行き詰まっているのは軍事政権のだけのせいではありません。ミャンマーの人々は現代経済の価値観とは違った世界に住んでいるのじゃないかと思いました。イラワジ河口のマングローブ地域では、経済の発展=幸せ という図式はありません。世界地図では、マングローブの森=貧しい地域のように見えますが、そこでは植物、動物、人間の「共生」が感じられます。マングローブ植物だって塩水より淡水の方がよく育ちます。しかしその植物は与えられた厳しい環境の中でフテ腐れずに、そこそこ満足して生きているのです。昔の人は良いことを言ってます。「足るを知るものは心豊かな人」。
◆今はちょっと悪いが経済的に発展したアメリカ、日本にはたして心豊かな人が多いのか。欲望には際限がない。どこかで足るを知らないと、行き着く先は破滅のみ。ミャンマーの田舎に破滅を逃れるヒントがありました。それを学ぶために来年は「イラワジ・みわ塾」を開催することにしました。乞うご期待。