もう40数年前のことだが、近鉄が宮本常一さんに依頼して鵜方に民俗博物館を作ることになった。民俗資料を集める手伝いで私も志摩を歩き回った。今は大学の偉い先生たちも汗を流して民俗資料を運んでいた姿が思い出される。賀曾利さんや山口君も民家を訪ねて歩き回っていたなぁ。
私は博物館のパンフレットに志摩のリアス式の地形の説明文を書いた。しかし2016年に伊勢志摩サミットが行われるまですっかりその存在を忘れていた。パンフレットに書かれた宮本先生の文章に加えて私の説明文も復刻されて真珠飾りのついた桐の箱入りの豪華本になってサミットのお土産になったのだ。企画したのは地元の竹内千鶴さん。送られた豪華本は我が家の家宝になっている。志摩国府 総社
鵜方駅から東の安乗岬方面に向かうと国府(こう)という集落がある。ここに志摩国府があったことは想像されるが発掘調査はなされていない。
総社である国府神社が存在しているのでこのあたりに国府の建物などがあったのだろう。総社神社というが正式の表示はなかった。
志摩国分寺 国分尼寺?
志摩国分寺は国府海岸から少し丘陵にあがる斜面にある。ここまで上がれば津波の被害は受けないかもしれない。三重県にはもとは伊勢、伊賀。志摩の3か所に国分寺があったが現存するのは志摩だけだという。安乗岬に向かう道路近くに立派な建物がある。この寺の本尊は秘仏であるが重要文化財になっているので観光案内書には記載されている。お尋ねしたらご住職が秘仏の扉を開けてくださった。ありがたい!
国分尼寺は詳細不明で跡地に関しても資料はない。残念!
安乗岬
志摩はリアス式の海岸が続いており、深い入り江と細長い半島が交互に訪れる。志摩国府、国分寺の先には安乗岬が海に突き出している。私は志摩の岬巡りもしていたのでそれぞれの岬、灯台にも思い入れがある。さらに岬の根元にある安乗神社もいい神社なので写真を入れておきます。
猪子家住宅
国府国分寺とは関係ないが、サミットみやげの豪華本「志摩という国」を企画した竹内さんは、賢島の近くの猪子家の邸宅を買い取って復元するプロジェクトを実施中。最初に行った時には豪邸だがもうボロボロだった家を自力で復元し始めていた。今回めでたく登録有形文化財に認定された。文化財の家に泊まってもいいよ!とのことだった。残念ながら次の予定があったので夕方に豪邸を辞したら、電車の中で食べてと言ってお弁当をくださった。志摩の人はいい人たちだ。