農工大学の科学図書館でお話をさせていただいた。人前で話をするのは久しぶりなので、ちょっと心配で応援を頼んだら、多くの方が参加してくれた。我が地元の老人会長さん(小中学校の同級生)も遠路、東小金井まで来てくれた。
先日狭心症で倒れたおじさんやもう「これが最後の年賀状!」をくれたおじさんも顔を見せてくれた。かなり無理して来てくれたのだろう。申し訳なかった。まあでも多少の気晴らしと思えば「ディサービス」になったかもしれない。
最後に「八咫烏」「八尺の勾玉」など「八」にはどういう意味があるのかという質問を受けた。すぐに反応できず、宿題になってしまった。家に戻ってボケを実感した。昔ならすぐに、中国の陰陽説では1.3.5.7.9は「貴数」陽の数、2.4.6.8.は陰の数。貴の数が重なる日は重要な節句でお祭りをした。などと言えたのだが。せっかくいい誘導質問をしてくれたのに答えられなくて申し訳なかった。残念。
家に戻って、昔の写真をとりだした。たしか寒川神社(相模一宮)に「八方除」というのがあったのを思い出したからだ。八方塞がりを防ぐには寒川神社にお参りをというものだ。寒川神社のホームページを見たら以下のような記述があった。
それを読んで思い出した。聖徳太子のお墓も八角形で、どうやってそれを写真に撮ろうか苦労した。さらに2007年に発掘された天智・天武天皇の母、斉明天皇の墓とされる牽牛子塚古墳にも行って写真を撮った。いずれも八角形と書いてあるが、写真には上手く表せなかったことを思い出した。
以下は寒川神社(相模一宮)のホームページから
■ 最高の数「八」
「八」は日本人が好む数字であり、最高位を占める数です。八を「末広がり」といって喜ぶのは、裾が開いた形からくるイメージです。八を数字「8」で表し、8を横にすると∞となり、西洋では宇宙にすえひろがりに広がる、無限という意味にもなります。
八という数字は、中国では古くより非常に重大な意味をもっていました。紀元前十世紀ごろまとめられた易経における八卦に関係していて、宇宙のすべては、陰と陽を八卦で組み合わせることによって生まれるとされています。
わが国最初の書物「古事記」、また「日本書紀」には、八へのこだわりが多く見られます。大八島、八尋殿、八咫烏、八十建,八衢、八重雲・・・、三種の神器は、八咫鏡・八十握剣、八坂瓊勾玉と、鏡、剣、玉にみな八の形容詞を冠らせています。八は多大の意の日本における聖数であり、呪力のある数といえるのです。
“八方除”という言葉は、八方位を基本として吉凶を判断することから八という数字が用いられて
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■ 古代日本と八角形の主教哲学
7世紀後半から8世紀はじめに造られた天皇陵は、八角形をした八角古墳であるといわれ、天智天皇陵、天武・持統天皇合葬陵、文武天皇陵など重要な古墳の多くは、いずれも八角形をしています。
また、伊勢の神宮の御神体である鏡は、八稜鏡(八咫鏡)ともいわれ、この八稜鏡の「八」と、八角古墳の「八」とは単なる数字の一致に止まるものでなく、思想的に密接な関連があるとされています。
中国では古くより、八角形の宗教哲学というべきものが成立し、それは天上の神(上帝)の儀式と、自然哲学、天文暦学、気象学が関連づけられた宇宙論でもありました。中国の古代では上帝(太一神)の祭は八角形の壇の上でなされるが、それは全宇宙を八角形として捉える宇宙論の哲学があったからでしょう。 それが日本にも祭祀儀礼として取り入れられ、宇宙の最高神の祭を行っている天子が天皇であったため「八」が多いのです。