悪夢のリニア新幹線

昨日の地平線会議の報告会は「悪夢の超特急:リニア中央新幹線」という本を書いたKASHI田秀樹さんのお話だった。最近地平線会議にはご無沙汰なのだが、この報告会は興味があった。

私はリニア新幹線は山梨の実験線でもう終わったものだとばかり思っていた。しかし先日10月17日、建設着工に国からの認可がおりた。JR東海は2027年に東京・名古屋間の開業を目指すそうだ。これまでとは全く違った方式で、磁気で車体を10センチ浮かし、時速500kmの速度で、名古屋まで40分で着くそうだ。工事費は9兆円を見込んでいるそうだ。

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全線ほぼトンネルになる。南アルプスの下を掘るが、これが難物。中央構造線と糸魚川静岡構造線(フォッサマグナ)という大断層を横切るのだから、相当の出水があって大変な難工事になることは技術者たちは覚悟の上だそうだ。「黒部の太陽」のような多くの犠牲者が出ないことを願う。

樫田さんはこのトンネル工事に伴う環境破壊、とくに水の問題について詳しく説明してくれた。さらにトンネルを掘った残土はどうなるのか?それらについては地元には全く知らされていない。もっと丁寧に説明してから着工してもよかったのではないか。これは私見だが、アベノミックス、東京オリンピックに便乗して、どさくさにまぎれて着工を急いだとしか思えない。

JR東海単独事業と言うが9兆円もかかる事業を1企業に任せてよいのか。事故が起きたら、とても一企業では対応できない被害がでる。責任がとれるのか。環境破壊や、強力な電磁波で乗客にも影響が出るかもしれない。夢のリニア新幹線と言うだけで、マイナスになることは全く説明がない。国はそのマイナスもクリアしたうえで認可が必要だろう。

しかしJR東海は、反対派としてKASHI田さんを危険人物とみなし取材お断り。本の出版は直前に取りやめになったという。(別の出版社から出た)。そんな妨害などせず、堂々と国民に説明すべきというのが、本日の内容だった。

私は1.構造線を横切るトンネルは数10年かかると思う。2.さらに磁気浮上のための電力は原発を3つぐらい専用に稼働させないといけないほどの電力消費になる。3.強力磁石から発せられる電磁波(波長が違うだけで放射線とおなじもの:原子力規制庁で規制基準を作っている)が人体にどう影響するかわからない。1.2.3のことから、このリニア新幹線計画はとん挫すると思っている。たとえできたとしてもそのころは人口も減り、そんなに需要があるとも思えない。景色も見えない「地下鉄」に観光客は乗るだろうか。

などなど、とんでもない問題が山積している。こんなものを認可したお国は、とん挫した時にどう責任をとるのか。税金が山ほど投入される。もう少し慎重にやるべきだった。いまの安倍自民党は、原発推進を始めた時と似ているという。早いうちに止めないと、とんでもないことになることは分っている。

樫田さんの話は遠い先のことではなく、いま工事が始まる前に何とかしなければならないという焦りを感じさせてくれた。みなで声を上げたいが、年寄りは大声が出せない。若者よ、自分たちの上に降りかかる火の粉をいまのうちに振り払っておかないと、(財政的にも)取り返しがつかないことになるぞ。