かさ上げ工事 いつ人が住めるようになるのか?

気仙沼の漁港のかさ上げ工事は完了して、もう水揚げが行われている。朝遅かったせいで、見学に行った時にはもうセリは終わっていたのだろう。静かな雰囲気だったが、完成した魚市場をみると「よかった」という気分になる。

しかし一歩外に出ると、広大な敷地はかさあげ工事の真っ最中。「三陸道工事」と書いたダンプカーが次々と土砂を運んでくる。陸前高田と違って、ベルトコンベアで運べるような山が近くにないので、土砂は三陸道の工事現場の廃棄土砂を持ってくるようだ。
140725kesen-kasaage01

いくらダンプカーが大きくても、この広大な場所を4m近くかさ上げするのは大変だろう。今の調子だろ、人が住めるようになるのには、まだ数十年はかかりそうだ。土木工事屋さんは持続可能な工事が続くので潤うだろう。しかし三陸の各入り江でこんな工事がなされているが、完成はまだまだ先のことだ。

戻ってくるのは、昔のこの地域の生活を知らない人になってしまうだろう。100%安全ではないけど、例えば鉄筋で8階建てのビルなら、今回の津波にも対処できる。もうちょっと現実的な工事はできなかったのだろうか。・・・当事者にとってはよけいなたわごとだろうが、なんとなくそんな感じがして、心穏やかではなくなった。

気仙沼 港付近 ウミユリ

 前回2012年に来た時には、気仙沼の町には大きな船が打ち上げられ、火事で焼けた跡が各所に残り、がれきが積み上げられていた。これをどうやって処理するのか、と心配したのだが、打ち上げられた船は撤去され、がれきはどこかへ運ばれており、町はすっきりしている。

140726kesen-minato02

 しかし津波に襲われた地域の建造物は撤去され、広大な平野になっている。気仙沼大島の発着する港に、船はたくさんいるのだが待合室ターミナルは撤去され、岸壁から直接乗り込むようになっている。雨の日など大変だろうに。3階建の男山酒造のビルは1,2階が流されて、3階だけが残っていたが、保存されることになったそうだ。

140726kesen-otokoyama

 私たちは港のすぐ上にある、エレベーター付きのホテルに宿泊した。岩盤の上にあるので地震津波の被害はほとんどなかったが、目の下では大惨事が来ていたばしょだ。周辺のホテルはかなり復活し、多くの宿泊者がいる。このホテルは観光客が多いが、他のホテルは復興工事の人たちが長期滞在しており、繁盛している。

140726ikkei-hotel

 手前の岩がごろごろしているところは、昔「一景島」と言われたところ。このホテルがある場所は明治の時代には入り江だったことが分かる。大昔からの陸地ではなく、埋め立てによってできた場所だったのだ。地震が沈んだのは、自然の摂理から言えば、不思議なことではなかったのだろう。
この岩は石灰岩で、近隣の地区は同じ地質だ。先日天皇さまが視察された岩井崎(横綱秀の山の像が立っている)も同じ石灰岩で、ウミユリの化石がたくさん見られる。
140726umiyuri