あれから5年だ。私も含めてみなそれまでの生活を振り返って、謙虚な態度になった。復興がなるまではぜいたくはしません。電気がなくてもがまんします。原発なんか要りません。と言っていた。政府はものすごい予算をじゃぶじゃぶ出して、復興を進める意気込みを見せている。
もちろんそれはいいことだろうが、陸前高田の町などを見ていると、一体だれのための工事だろうかとおもう。町にはかさ上げ工事の車や重機、昨年までは山を崩して土砂を運ぶベルトコンベアがフル回転していた。町が出来上がるまでにあと何年もかかるだろう。それまでに人は完全にいなくなる。土地は復興したが、人はいない。
本当に住民のための復興なのか、かなり疑問が残る。昨年は福島にも行ったがこちらは原発事故のために立ち入りできない地区が多々あり、行方不明者の捜索もまだできない状況だ。何をおいても真っ先に遺体収集してあげて欲しい。13年だったか、高市早苗という自民党の偉い人が「事故によって死亡者が出ている状況ではない」と発言し、非難を浴びて撤回した。原発周辺では放射能濃度が高く津波被害にあった人を助けに行けなかった。宮城、岩手などでは津波後に孤立していた人たちが何日か後に助け出されている。福島県でも原発事故さえなければ助かった人もいたはずだ。犠牲者は事故によってでた使者であることは間違いない。高市さんは原発事故は何だったかわかっていない。
同じような言動は丸川環境大臣の発言にもあった。1ミリシーベルトまで下げることができないので、その数値は何の根拠もなく決められたと、環境大臣が言うのだ。これも撤回されたが、うわべだけなのは明明白白。環境大臣なのに、いかにして原発を再稼働させるかを画策しているにすぎない。一昨日だったか、再稼働した原発を差し止めるという判決が出た。現場をみたらだれでも「再稼働など10年早い!」と思うだろう。少なくとも放置されている遺体をきちんと葬ってあげれるようになってから、再稼働の話をすればいい。その時にはどの原発も耐久年数を過ぎているから再稼働はできない。それでも仕方がないじゃないか。再稼働を止められた高浜原発周辺のジイサンがインタビューで「突然止められちゃこまるよ!」と言っていた。5年前のことを忘れたのか!
5年前、政府も東電も謙虚な態度を示していた。たった五年で忘れてしまい、お金が一番とばかりじゃんじゃんお札を印刷し続けている。経済発展はもちろん大事だろう。しかし被災者、被災地域をほったらかしてつき進むのは止めてほしい。政治家というのは後ろを振り向き振り向き進むものだろうに。アメリカ大統領選ではトランプの陰に隠れているがサンダースという社会民主主義の候補が善戦している。アメリカにだってこんな政治家が支持されているのだ。日本ではどうなんだろうか。