奥州市の水沢に国立天文台がある。何でこんなところにあるのかと言えば、明治時代(1899年)に極運動(地球回転の乱れの一側面)を解明するため、国際測地学協会が「国際緯度観測事業」として、世界各地の北緯39度8分上の6か所に観測所を設置したそうだ。
日本では1899年(明治32年)岩手県 水沢市(現奥州市)に文部省所轄研究所として「臨時緯度観測所」を発足させた。初代所長は木村榮 (ひさし)。木村は東京帝国大学の星学科で天文学を学び、特に星を用いて緯度を決定する手法を身に
着けます。また大学を卒業後も大学院に進学し、震災予防調査会の下で田中館愛橘教授に学んだ。
ドイツの本部から日本の観測精度が悪いと批判を受けたが、実は日本の方が精度が高かった。従来知られていた緯度変化では説明がつかず、木村さんは、z項という項目を入れることを提唱し、世界で認められた。z項というのはちょっとしたブームになった。水沢のあちこちでzホールとかzアリーナ、zバス、などに使われている。
今は古い建物が「宇宙遊学館」として公開されている。敷地内も見学できるので10mの電波望遠鏡の下まで行くことができる。昔の観測所も残っており、こんな施設でよく観測で来たなあと感心する。宮沢賢治もこの観測所を何回も訪れている。銀河鉄道の夜のイメージはここで得たものだ。