■2-4 高天原大事件、岩戸隠れ!

私の愛読書の「古事記」の作者である梅原猛さんは、高千穂のくじふる岳が天孫降臨の地で奥に高天原があると述べている。地元にはその場所に案内板が立っている。
天岩戸もここにあり天岩戸神社もたっている。その奥に高天原の「天の安河原」もある。いずれも歩いていくことができると場所で、私にはちょっと神秘性がなくて不満であるが、大先生が言われるのであればなるほどと感心するしかない。
写真の洞窟の場所は「天の安河原」である。目の前の天の川を挟んで天照大神とスサノオ神とが「うけひ」を行った。「うけひ」は神の意志を問う占いだが、両神は正邪をどう判断するか決めないまま始めた。
天照大神はスサノオ神の「十握の剣」(とつかのつるぎ)を三つに折って、真名井の水を含んでプッと吹きかけた。そこからタギリ、イチキシマ、タキツの三柱の女神(宗像三神)が生まれた。
スサノオ神は天照大神の勾玉を砕き真名井の水を含んでプッと吹きかけた。その時にオシホミミ、ホヒ、クマノなど五柱の男神が生まれた。日本書紀には六柱となっており、ニギハヤヒという神が加わっているのだが、この神は後で活躍するので、六柱の男神が生まれたとする方を私は支持する。
スサノオ神は、私の心が清いから女の子が生まれたと勝利宣言をして、高天原で乱暴狼藉を働く。驚いた天照大神は岩戸の奥に隠れてしまう。

太陽の神天照大神が岩屋に隠れたために、世の中は真っ暗になった。困った神々は天の安河に集まって協議をする。
日本は神話の時代から民主主義の国だった。思兼神(オモイカネ)という賢い神が計画を練った。力自慢の手力男神(タジカラオ)を岩戸の脇に隠れさせ、岩戸の前で天の鈿女(ウズメ)が桶を踏みならし踊った。天の鈿女の踊りは神がかりとなり衣服ははだけ乳房があらわになった。見ていた神々は、はやし立て、笑い声は高天原に響き渡った。
この笑い声は岩屋の中まで響いた。
天照大神「私がいなくて暗いはずなのに、何が楽しいの?」
天の鈿女「あなたよりも美しい神が来られました」
フトダマ神が持った鏡をご覧になって
天照大神「これが美しい神か?」
もっと近くでご覧になろうとしたとき、控えていたタジカラオが天照大神を岩戸から導き、フトダマが入口に注連縄を貼り天照大神が再び岩屋に戻れないようにした。こうして高天原と葦原中国に再び光が戻ってきた。日本神話、一大事件である。

この事件を引き起こしたスサノオ神は高天原の神の叱責を受ける。財産を全部奪われ、髭や手足の爪を抜かれて、高天原を追放された。尊い神が高天原から地上の国に降りてくることを降臨というが、スサノオ神は追放されたので降臨とはいわないようだ。

高天原でそんな時間が起こっていたんだ、など思うと、日本神話は実に興味深い。この本は戦前まで歴史書として、本当にあったんだと信じられていた。しかしどうもうまく出来すぎている感がある。何か根拠はあったのだろうが、あくまでも創作と考えたほうが納得はしやすい。しかし私は何か根拠を探してみたくなるのである。