【🐶全国狛犬100選🦁】004

北海道4 江戸から移住してきた狛犬 


 札幌に住む狛犬愛好家の藤野久美子さんの一番の推薦狛犬である。札幌ではいくつもの狛犬を見たが、これはちょっと違う。彼女の説明では、もと北海道拓殖銀行頭取の邸宅にあった菜洗神社(千葉県市川市)を、八紘学園の創立者が昭和15年に譲り受け、札幌の学園の構内に移築したものだという。 そのときに狛犬も一緒に移転したので、北海道風ではないのだ。

頓宮神社の古い狛犬は「札幌軟石」で彫られたものである。札幌軟石は支笏カルデラ(約4万年前の噴火)の火砕流が固まった溶結凝灰岩で札幌市南区にまで達した。菜洗神社の狛犬とは材質が違うのだ。 岩の質は不明だが硬いが細工のしやすい岩石で作られており、「江戸流れ」と言われる流麗華やかな江戸東京系の狛犬である。

作った当時は狛犬というよりも「獅子」と意識して作られたのではないかと私は推測している。 阿形がもつ透かし彫りの鞠の中にはもう一つ玉が入っている。どうやって彫ったのだろうか。背中の渦巻き模様もていねいですばらしい。相当な腕を持つ名工の作だったのだろう。もしかすると籠彫りの名人と言われた野田平業の作ではないかと思っているのだが・・・

 この狛犬を推薦してくれた藤野さんは実はこの学園の卒業生だった。どおりでこんな小さな神社に立派な狛犬があることを知っているはずだ。ここは北海道のバーベキューの八種の地だそうだ。牛乳、アイスクリームも生産販売しており、広い草地でソフトクリームをいただいた。

【🐶全国狛犬100選🦁】003

北海道3 頓宮神社 子抱狛犬と唐獅子牡丹

札幌開拓に伴って北海道神宮(もとは札幌神社)ができた。しかし神宮は円山の近くにあって参拝には不便だった。そこで町の中心部に遥拝所がつくられた。それが頓宮神社となっている


 この神社には札幌では一番古いと言われる狛犬がいる。尻尾を高く上げて相手を威嚇する出雲型のような狛犬である。両方とも細工は丁寧ですばらしい腕の石工が作ったと思われる。明治23年奉納と書かれているが石工名は不明だった。
 狛犬というのは略称で本来は「獅子、狛犬」が正しい。平安時代の書物には「左獅子」と書かれているそうだ。神様から見て左なので我々から見ると右手にあるのが獅子である。

 この獅子は牡丹の花を加えているので阿吽の吽の口をしている。これぞ唐獅子牡丹。もう一方は開いた口に珠の狛犬である。

 入口の鳥居の下にもう一対花崗岩製の堂々とした狛犬がいる。こちらは昭和になってからの奉納であり、表面がピカピカに磨かれている。じつはこの狛犬、なでると恋愛が成就すると評判なので、大勢の手で磨かれているのだ。

 札幌でたくさんの狛犬を見たが、この神社のものはなかなか面白い。一番の「推し」(初めて使う言葉だが・・・)である。